1.19.2014

幾何概論4

Ⅱ 古典幾何の空間


1. 群作用を持つ集合

・ 群G空でない集合Xへの作用 action とは、準同型写像φ:G→SXことを言うここで、SXはX一般変換群である。このときGをX変換群 transformation group という。φ(g)(x)を単にgxと書く。

・ X一般変換群SX恒等写像id:SX→SXによりX作用する


・ K-ベクトル空間Vの一般一次変換群GL(V)は包含写像ι:GL(V)→SVにより、Vに作用する。

・ n次元数ベクトル空間Knの正則一次変換をKnの標準基底に対し表現した正則行列と同一視することにより、一般線型群GL(n,K)はKnに作用する。そこで、GL(n,K)の部分群、例えば直交群O(n)もまた、Knへの作用を持つ。

・ 群GのG自身への作用として、fixされたg∈Gによる左移動、g-1による右移動、gによる内部自己同型がある。

・ 群Gの必ずしも正規でない部分群Hに対し、Gの左剰余集合G/Hへの作用がある。


・ 群Gが集合Xに対して作用φ:G→SXしているとする。以下、極力φは明示しないようにする。

・ x∈Xに対し、Xの部分集合{gx | g∈G}を、この作用によるxの軌道 orbit といい、Orb(G,x)で表す。


・ x∈Xに対し、Gの部分集合{g∈G | gx=x}はGの部分群であり、この作用によるxの固定化群 stabilizer または等方群 isotropy group といい、Stab(G,x)と書く。


・ Orb(G,x)が{x}である、つまりGの全ての元はxを動かさないようなx∈Xを、この作用による不動点 fixed point という。

・ 任意のx∈Xに対しStab(G,x)が単位群となるとき、この作用は自由 free であるという。これは、「Gの異なる2元は、Xの全ての点を異なる2点に移す」(詳しく書けば、「g≠hならばgx≠hxが任意の点xに対して成立」)、という条件と同等である。


・ φが単射であるとき、この作用は効果的 effective または忠実 faithful であるという。これは、「Gの異なる2元は、Xに対し異なる2つの変化をもたらす」(詳しく書けば、「g≠hならばgx≠hxなるx∈Xが存在する」)と言いかえてもよい。

・ 自由な作用は効果的である。


・ 作用が効果的ならば、GはSXのある部分群に同型である。


・ Gにおける関係 ~ を、g~h :⇔ gとhはXに同じように作用する(つまりφ(g)=φ(h)) と定めると、これはG上の同値関係であり、G/~は群構造を持つ。G/~はXに効果的に作用する。 

・ 任意のx∈Xに対しOrb(G,x)=Xであるとき、この作用は推移的 transitive であるという。これは、「任意の2点x,y∈Xに対し、gx=yなるg∈Gが存在する」と言いかえてもよい。


・ 自由かつ推移的な作用を単純推移的 simply transitive または正則 regular であるという。つまり、任意のxについてStab(G,x)={e}かつOrb(G,x)=Xである。また、「任意の2点x,y∈Xに対し、gx=yなるg∈Gがただ一つ存在する」ということ。


・ Gの2つの集合X,Yへの作用φ,ψが同値 equivalent であるとは、X,Yの間の全単射θであって、任意のg∈Gに対し、θ・φ(g)=ψ(g)・θが成り立つものが存在することをいう。

・ 群GがXに推移的に作用するとき、XはGの作用の下で等質集合 homogeneous set という。Gの作用の下の2つの等質集合が同型とは、2つの作用が同値であることをいう。


・ Xが群Gの下で等質集合であるとき、Xの1点xにおける固定化群によるGの左剰余集合G/Stab(G,x)もGの等質集合で、XとG/Stab(G,x)は同型。

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