1.19.2014

幾何概論3

3. 位相群


・ G群でありかつT1位相空間とする。Gの群演算、積および逆が連続写像であるとき、Gを位相群 topological group という。

・ ノルム空間Vに対して、Vの加法群としての構造とノルムから定まる距離空間の構造を考えると、Vは位相群である。特に標準内積の定められた数ベクトル空間Knは位相群であり、n=1の場合であるR,Cは位相群である。


・ Mn(K)をn2次元数空間と思って、距離空間の構造を入れる。一般線型群GL(n,K)はこの位相から誘導される相対位相を入れると、位相群である。特に乗法群R\{0}, C\{0}は位相群である。

・ 離散位相を持つ位相群を離散群 discrete group という。T1性により、位数有限の位相群は離散群である。

・ 位相群の直積集合もまた位相群の構造を持つ。

・ 位相群の部分群は相対位相により位相群となる。特に閉集合であるような部分位相群を閉部分群 closed subgroup という。

・ GL(n,R), U(n), O(n)はGL(n,C)の閉部分群。特に、U(n),O(n)はコンパクト。U(1)は絶対値1の複素数のなす円周群と同一視できる。

・ 群Gとg∈Gに対して、2つの写像Lg:G→G (x→gx)、Rg:G→G (x→xg) を定め、それぞれgによる左移動 left translation 、右移動 right translation という。一般にLg,Rgは全単射であるが群同型ではない。

・ Gが位相群であるときは、Lg, RgはともにGの自己同相写像である。


・ 位相群Gの開集合Oと任意の部分集合Aに対し、積OA, AOはGの開集合。

・ 位相群はT1であるが、更に強くT2である。

・ 位相群Gとその閉部分群Hに対し、商集合G/Hに自然な射影π:G→G/Hにより定まる商位相を入れることで、G/HはT1位相空間となり、πは連続開写像である。Hが正規ならば、G/Hもまた位相群である。この位相群をGのHによる商位相群という。


・ 位相群Gの部分群でGによる相対位相が離散位相であるものを、Gの離散部分群 discrete subgroup という。

・ Znは位相群Rnの離散部分群。GL(n,Z)はGL(n,R)の離散部分群。

・ 位相群Gの離散部分群Γは閉部分群。

・ 2つの位相群の間に全単射群同型同相写像が存在するとき、この2つは位相群として同型であるという。

・ n次元R-ノルム空間Vを位相群と考え、Γ≠{0}をVの離散部分群とする。このとき、Vの一次独立な元の組{e1,…, em}で、Γがこれらの整数係数一次結合r1e1+…+rmemのなす集合となるようなものが存在する。そこで、Γは整数群Zのm個の直和Zmと同型。

・ 上の記号の下で商位相群/Γが考えられる(Vは可換群ゆえ、ΓはVの正規部分群となる。また離散部分群は閉部分群であった。)が、V/Γは位相群として、円周群U(1)のm個と、R(n-m)の直積に同型である。

  V/Γ ~ U(1)×…×U(1)×R(n-m)

・ 群Zmと同型な群を階数mの格子群 lattice group という。

・ n次元R-ノルム空間Vの離散部分群を格子部分群ということにする。

・ 位相群Rnの階数nの格子分群Γによる商位相群Rn/Γをn次元トーラス群 torus group という。Rn/Γから群構造を忘れた位相空間をn次元トーラス torus といい、Tnで表す。


・ T1はS1であり、TnはS1のn個の直積と同相である。S1はコンパクトであるから、Tychonoffの定理により、Tnはコンパクトである。

0 件のコメント:

コメントを投稿